訪問介護をやめたいと感じる瞬間
訪問介護は想像以上に過酷でやめたいといった話をよく耳にします。ただイメージだけで、実際に訪問介護で働いてみないと分かりませんよね?
今回、訪問看護ステーションの所長(管理職)をしている大賀(仮称)さんからの相談内容をご紹介します。

 

大賀さんは作業療法士という資格を持っています。一般的な言い方でいえば「リハビリ」の仕事をしています。
具体的な仕事内容としては、ご高齢の方や障がいを持っている方に対して運動を行ったり、生活を送るうえで便利な道具を提供したりしています。

 

訪問看護ステーションの仕事は責任感が求められ、とてもやりがいのある仕事です。
ただ・・・「訪問介護をやめたい。看護師への配慮とマネージメントに悩み疲れました・・・」と相談を受けました。
そんな大賀さんの事例をご紹介させていただきます。

 

訪問看護ステーションとは?

訪問看護ステーションとは
訪問看護ステーションとは、ご高齢や障がい、病気が原因で、自宅での生活が難しくなっている方に対して、看護師がご自宅にお伺いし必要な支援を行うことです。
現在は少子高齢化社会のため、老々介護となっているご自宅が増えてきています。そのため訪問看護ステーションのニーズは多くあります。

 

しかし、それだけのニーズがありながら訪問看護ステーション事業は倒産することが多い事業です。
毎年1200カ所ほど新規事業所が設立されますが、その反面700カ所ほどの訪問看護ステーションが閉鎖に追い込まれています。

 

訪問看護ステーション事業が閉鎖に追い込まれる要因の多くは以下の通りです

 

①看護師への配慮不足

②看護師のマネージメントの失敗

 

この2つが訪問看護ステーション経営でもっとも大事なことであり、もっとも難しいことです。
私自身、この2つの問題に悩まされ続けています。

 

訪問看護ステーション事業の経営に必要なのは看護師への配慮とマネージメント


冒頭でも述べましたが、訪問看護ステーションは経営が難しく、毎年多くの訪問看護ステーションが閉鎖に追い込まれています。
その要因は、「①看護師への配慮不足、②看護師のマネージメントの失敗」だと先ほど述べましたが、この2つは看護師の離職につながります。

 

それによって看護師の人員不足となり、訪問看護ステーションは閉鎖につながります。
看護師はその資格の持つ重要さから、病院やクリニック、訪問看護ステーションなど、どの事業でも重宝されます。
極論を言えば、看護師は職探しに苦労することがないと言えます。そのため、一般的な会社員と比べて看護師の離職率は高い傾向にあります。

 

看護師の採用コストは1名あたり100万前後です。
訪問看護ステーションは小規模の事業所が多いですから、何回も100万円かけて看護師を採用することは無茶な話です。
だから看護師が退職しないように、適切な配慮とマネージメントが必要になってきます。

 

訪問看護ステーションで看護師が辞める要因は、以下の通りです。

①人間関係の破綻

②24時間364日対応の負担

 

訪問看護ステーションでの人間関係の破綻とは

訪問看護ステーションでの人間関係の破綻とは
訪問看護ステーションで看護師が退職する要因の多くは人間関係の破綻だと思います。
訪問看護ステーションは小規模な事業所が多いので、小さな人間関係の問題がとてつもない大きな問題に発展することが多くあります。

 

いかに人間関係の問題に早く対処するのかが管理職に求められることなのですが、それがとても難しいです。
なぜなら、お互いの異なる正義感で衝突することが多いからです。

 

看護師の多くは責任感と正義感が強い人が多いです。やはり看護師という職種を選ぶ方はそのような方が必然と多くなるのかもしれません。
ただその責任感と正義感の強さが問題なんです。

 

例えば、訪問看護ステーションを利用される方はご高齢でご病気を持たれている方がほとんどですから、食事制限をされている方や、
薬を大量に処方されている方が多いです。
しかしこの方達の中には、「いつ死んでもいいから好きなものを食べる」、「別に長生きしなくてもいいから薬は飲まない」
と訴えられる方が少なくありません。

 

このような方達に訪問看護を行う場合、看護師同士の衝突が起こりやすいです。

 

具体的には、「ちゃんと食事制限をさせないと悪化するリスクがある」「薬をのませないと今の生活を続けられない」という価値観を持つ看護師と、
「本人の望む生活をさせてあげたい」という価値観を持つ看護師の2パターンが多いです。

 

当然、この看護師たちは衝突します。お互いが利用者のことを考えて発言しているため、どちらも引き下がりません。
もし「幸せな人生の過ごしかた」のような定義があれば、このような価値観のズレは生まれないとは思うのですが・・・

 

訪問看護ステーションの管理者の重要な仕事は、このような意見・価値観の対立が起こったときにそれを治めることです。
それぞれの意見を肯定するような対応を行います。この対応で上手くいくこともあります。しかし問題を解決できなかった場合、
看護師は退職してしまうことが多いです。

 

訪問看護ステーションでの24時間365日対応の負担

訪問看護ステーションでの24時間365日対応の負担
訪問看護ステーションで求められるサービスの1つに24時間365日の電話対応があります。
これがもっとも重要なサービスで、社会的に求められているものです。
このサービスを導入していなくても訪問看護ステーションを運営することは可能ですが、仕事の依頼は激減すると思います。

 

当然、私が勤務している訪問看護ステーションでも24時間365日の電話対応をしています。
しかし、このサービスもまた人間関係の破綻につながりやすいのです。

 

訪問看護ステーションを利用されている方の多くは病気を持っているご高齢の方です。
そのため、多くの方は病状が急変するリスクが伴っています。
そういった事態になったタイミングが夜中だったりすると、その日当番の看護師が一人で判断しなければなりません。

 

これはかなり難しい問題です。看護師に限らず、医師でもない医療従事者が急変した方の対応を適切に行うことは難しいです。
こういった状況になると、少なからずパニックになります。

 

このような事態を避けるためにも普段から訪問した際に、利用者の全身状態のチェックや異変がないかを確認するようにしています。
もし調子が悪そうであれば、どのようなリスクを想定し、看護師同士で情報を共有しておくことで不足の事態を避けることができます。

 

しかし、1つ問題があります。看護師経験が少なかった場合、普段の訪問時に利用者の異変に気がつくことができないのです。
もちろん看護師の経験年数があまりない方や訪問看護未経験者と、ベテラン看護師では能力の違いがあるので、仕方が無いことでもあります。
しかし、24時間365日の電話対応をするうえでは看護師にも責任がかかってきます。
看護師の立場からすると能力の低い看護師を受け入れることができません。

 

そのため普段から、「〇〇はチェックしてきた?」「〇〇は絶対確認してきて」と必要以上にきつく対応してしまうことが多いです。
私も管理者として、「まだ訪問看護始めたばっかりだから、少しずつ成長させていこう」と対応するのですが、上手くいきません。
必ず、「何かあったら誰が責任とるんですか?」「私に迷惑がかかるのは困ります」といった返答をされます。

 

このような状況になった場合は、経験の浅い看護師は、「私には訪問看護は向いてません」といって退職を希望してきます。
退職しないように説得はするのですが、それで残ってくれる看護師はほとんどいません。

 

日々、看護師への配慮とマネージメントの難しさに直面し、「いつまでこの状況が続くのか?」といった不安感を抱きながら働き続けています。
また、「いつか私自身が心身ともに崩壊するのでは?」と思いつつ、責任感のプレッシャーで押しつぶされそうになっています。

 

まとめ

大賀さんは管理職として看護師のマネージメントだけではなく、経営についても考えられている責任感の強い方でした。
また、訪問介護を通じてお客様に幸せを提供し続ける社会的使命についても、熱く語っておられました。

 

ただ、その責任感の強さゆえ、何でも1人で抱え込み、息抜きの仕方を忘れてしまっているように感じました。
このまま働き続ければ、いずれ息切れしていまいます。
人間は1人では生きていけません。時には周りの人に助けてもらい、気分転換することも必要です。

 

また、介護業界のセミナーや懇親会に参加することをおすすめしました。
同じ悩みを抱えている人と触れ合うことで、解決できることも多くあります。

 

訪問介護は介護業界のなかでも、最も仕事がきつく、人手不足だといわれています。
そんな業界の第一線で所長としての責任感を果たすには、心身ともに万全である必要があります。

 

ぜひ、大賀さんにはリフレュシュする手段を見つけてもらい、訪問介護を通じてお客様に幸せを提供し続けていただければと思います。

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